つい最近、13年も使っていた洗濯機が壊れたため、久しぶりに洗濯機&乾燥機を買い換えました。
そのとき「ドラム型ではなく、たて型洗濯機と乾燥機を別々に買った」と呟いたら「なぜドラム型・一体型のを買わなかったのか?」と反響が大きかったので、洗濯機、乾燥機の選び方に関する私の考えをまとめておきます。
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洗濯機に限った話ではありませんが、最初に理解すべきは、「異なる機能のものをひとつにまとめると、それぞれの専用機より機能は劣る」という大原則です。
以前は二槽式の洗濯機が主流でした。今もあります。
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二槽式では、洗濯をする槽と、脱水をする槽が分かれています。前者は「洗濯に最適化された設計の槽」であり、後者は「脱水に最適化された槽」なので、
ひとつの槽で洗濯も脱水もする、いわゆる「全自動洗濯機」より、洗いも脱水もよくできます。
特に脱水については、二槽式は全自動よりかなりしっかりと脱水できます。なので当然、干した時に乾く時間も短くなります。
しかーし、
今どき洗濯槽と脱水槽の間で、洗濯モノををいちいち手で移すなんて面倒なことはできません。だから、みんな全自動洗濯機を買うようになったのです。
同じように、「洗濯・乾燥機」も、基本は、洗濯機と乾燥機を別々に買ったほうが機能的には優れたものが手に入ります。
でも「いちいち洗濯機から洗濯モノを取り出し、自分で乾燥機に移すのは面倒」というなら、洗濯・乾燥一体機を買えばいいのです。
これは、「どちらがよい」という話ではなく、「どちらが、より自分のニーズに合っているか」という話です。
塩は岩塩、胡椒は黒胡椒とこだわって選びたい!という人は別々に買いたいでしょうし、「そんなもんにこだわりなんてない。しかも塩と胡椒は常に一緒に使う」という人には下記が便利です。
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※塩胡椒の他、出汁の素も入ってます。
リンスインシャンプーが便利だという人もいれば、「あれでは洗髪も潤い補給も、いずれも中途半端」と感じる人もいます。
オーブンレンジが便利という人もいれば、オーブンと電子レンジは(たとえ場所を取っても)別々がいい、という人もいる。
この辺は「どちらかが絶対的に正しい」という話ではありません。
私は今回も「洗濯機」と「乾燥専用機」を別々に買いました。なぜなら(私にとっては)洗濯機と乾燥機は分かれているほうが便利だからです。
なぜか?
理由1:洗濯モノのうち半分は乾燥機には入れないから
うちには、「洗濯機では洗えるけど、乾燥機にはかけられない」という服がたくさんあります。たとえば下記
・ストッキングやタイツ、ブラジャー
・二重ガーゼの(肌触りサイコーの)パジャマ
・オーガニックコットンの肌着やタオル
・テロテロ化繊やニット生地のトップス
・ワンピースなどおしゃれ着
・マリンスポーツで使うラッシュやマリンスパッツ、水着など
ざっくり言って、洗濯モノの半分は乾燥機にかけず、ハンガーにかけて干して乾かしています。
こういう人の場合、「洗濯→乾燥」が連続して自動で行われる必要性は高くありません。どうせ洗濯が終わった時点で、乾燥機に入れるものと入れないものを分類する必要があるからです。
一方、「おしゃれ着やワイシャツは家で洗わずクリーニングに出す。なので、家で洗うものはすべて乾燥機で乾かせる」という人には、洗濯・乾燥一貫型を使うメリットが大きいですよね。
最初にボタンを 1回押すだけで、あとは放置で乾燥まで終わらせてくれるわけですから。寝る前にボタン押して、朝、乾燥まで終わってる。これは便利でしょう。
理由2:まとめて洗濯することが多い人や洗濯モノがすごく多い家は、洗濯・乾燥機は分かれていたほうが便利
洗濯機と乾燥機が分かれていると、洗濯と乾燥が同時並行で動かせます。
洗濯はあまり時間がかかりませんが、乾燥は(特に一体機では)かなり時間かかります。
そして一体型の場合、乾燥機能を使っている間は洗濯できません。反対も同じ。
これが「特定日にまとめて洗濯する人」「洗濯モノがすごく多い家」には不便です。
私は1週間から 10日くらいの旅行をすることが多く、帰宅後に大量の洗濯をします。
こういうとき、洗濯機と乾燥機を併行して同時に使えないとスゴク不便です。
最初に衣類を洗い、それらを乾燥機に移した後、同時並行でラッシュや水着などを洗濯機でまとめて洗う。
みたいなことは、洗濯乾燥一体型ではできません。
最初の衣類を乾かし終わらないと、次の洗濯ができないからです。これは私にとっては「すごく不便」です。
また、最初に衣類を洗濯機に入れて洗い、洗濯終了後、それらを乾燥機に入れて乾燥しながら、シーツとまくらカバーを洗濯機で洗うといったことも、洗濯・乾燥一体機だとできません。
最初の衣類が乾燥するまで、次の洗濯ができないからです。
が、毎日、1回だけ洗濯乾燥機を回せばすべての洗濯が済む。同時並行で使う必要なんてない。というご家庭なら、洗濯・乾燥一体型が便利でしょう。
以上が、「洗濯・乾燥が一気にできる一体型」を買うべきか、今回の私のように「洗濯機と乾燥機を別々に買うべきか」の分かれ目です。
まとめると
・「洗濯したものは全部、乾燥機で乾かす」なら一体型 &
・「大量にまとめて洗濯する日はほとんどない。洗濯と乾燥が併行して使える必要はない」なら一体型
です。
なお、ドラム式を使っている人の中には、洗濯モノが多い日でも( 2回に分けると時間がかかりすぎるため)無理矢理、大量の洗濯モノを押し込む人がいますが、
それって「衣類が傷み汚れが落ちない」だけでなく、洗剤が残るリスクも高まるので、やめたほうがいいと思います。
※最近、たて型でも「フタが透明で洗濯中に中が見える」商品も増えています。水量の適切さなど、洗濯途中に確認できて大変便利です。
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次に、「ドラム型を買うか、たて型を買うか」の判断方法です。
30年以上前、初めてヨーロッパでドラム式の洗濯機を見たときは、「洗濯機まで日本とヨーロッパではこんなに違うんだー!」と驚いたものですが、何年か前から、日本でもドラム式のシェアが一気に高まりました。
最近は、下記のような洗練されたデザインのドラム式も出ています。パナソニック Cuble(キューブル)というシリーズ
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日本でドラム式が急速に普及した背景として、「節水になる」という理由がありました。
水の中で衣類を「攪拌」(かくはん)する縦型にたいし、ドラム式は「衣類をたたきつけて洗う」方式なので、圧倒的に水の使用量が減らせます。
でもね。衣類の傷みは「かくはん方式(たて型)」のほうが少ないです。
ドラム型とたて型、「どちらが衣類が傷みやすいか」については諸説あるんです。
衣類の傷みにも「繊維が潰れる」「絡んで伸びる」「摩擦で毛羽立つ」など異なる傷みが存在し、「このタイプの傷みは○○型のほうがマシだが、こっちのタイプの傷みは○○型のほうがひどい」といった違いがあるから。
ただ、私がいつも考えるのは、ドラム式とたて型の攪拌式の洗い方を見ながら、「もし、この中に自分の手が入っていたら、どっちが手荒れしそうか」ってこと。
ドラム型では、持ち上げられた洗濯モノが繰り返し下に叩きつけられます。
10分間、自分の「手」がああいう扱いを受けたら、手がどれくらい痛いか、荒れそうか。手も衣類も、受ける負担は同じです。
たっぷりの水の中で攪拌されるのも「手にやさしい」とはいいませんが、バシバシ叩きつけられるのに比べたら、かなりマシだと思いません?
だから「お気に入りの Tシャツを大事に着たい」とか、「今治のいいタオルを使ってる」「肌触りのいいガーゼパジャマがある」なら、たて型を利用するのもひとつの考え方だと思います。
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ただし!
最近はたて型でも「節水機能」をウリにしてる商品が多いんです。たいていの機種に、ものすごく少ない水で洗う「おまかせコース」「標準コース」というボタンがついています。
なんだけど、見てると「こんな少ない水で洗ったら汚れがとれないでしょ!」「布が傷むでしょ!」って思えてかなり不安。
んが!
たて型なら、水の量は自分で調節できます。これも気に入っているところ。
今回ツイッターでこの件を呟いたところ、たて型を使っている人の中に「おまかせコースは使わない」「水の量は、洗濯機が適量と判断する量より、かならず手動で増やしている」という人がたくさんいると分かり、やっぱそうなのねと思った次第。
この前、洗濯機を買い換えて思ったのだけど、最近の洗濯機はその目的を「衣類をきれいに洗うこと」ではなく「節水すること」だと間違えて定義してるっぽい。あんな少ない水でグリグリ回して衣類を傷つけるの止めてほしい。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2017年9月29日
あと洗濯で気をつけたいのは絡みです。
ズボンやタオルのように「長いもの」をそのまま洗濯すると絡みつきが大きくなり、汚れが落ちないだけでなく、繊維が伸びるなど、やはり傷みが生じます。
なのでおしゃれ着でないものについても、できる限り洗濯ネットを使いましょう。
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なお、たて型にも「洗濯・乾燥の一体機」は存在しますが、たて型一体機の乾燥機能はかなりしょぼいので、一体型にしたいならドラム型のほうがいいと思います。
ドラム型って見た目が洗濯機より乾燥機に近いでしょ。つまり最初から乾燥機能を優先して設計されてるんですよね。
その他、最近はいろんな小型洗濯機も出ています。
※ こちらは小型の脱水専用機。手洗いして、脱水だけ機械の力を借りたい時はよくある。
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※こちらはかなり本格的な脱水機。毎日、その日に着た服を入浴中にまとめて手洗いし、これで脱水してほしておけば、1日で乾きそう。洗濯機、要らなくなりますよね。
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最後にもうひとつ。
たて型洗濯機の隠れたメリットは、目視による確認とコントロールができることです。
たとえば 1年に一度しか(もしくは数年に一度しか!?)洗わないカーテンを洗濯する場合、
たて型なら「洗い」の途中で水の色を確認し「うわっ、ばっちい! 二度洗いしよう!」と考えることができます。
この「水の色を見て、汚れがどれくらいヒドいか確認する」みたいなことが、ドラム式ではできません。
汚れの強い作業着や、野球部に所属する子供のユニフォームなどを洗う時も、洗いながら水に溶け出した汚れをみて、洗う時間や回数を調整できるのは、たて型の大きなメリットです。
それ以外でも、「何回すすげば洗剤分がぜんぶ落ち、すすぎの水がクリアになるのか」とか「色落ちする衣類を洗う時、どれくらい色落ちするのか」なども、たて型なら(途中でスイッチを切りフタを開けて)目で確認できます。
ドラム型では、洗っているものが今、どれくらいきれいになったか、色落ちがどのレベルで起こっているか、洗濯の途中で確認するのは、ほぼ不可能でしょう。
つまり、ドラム型のほうが、より「機械におかませ」なのです。
「洗濯なんて、洗濯機に任せておけばいい。汚れが全部落ちたかどーかではなく、洗ったかどーかという事実が大事なのだ」という人にはドラム式が向いており、
「洗濯機にいれてスイッチを押し、終了のブザーが鳴ったからといって、汚れが落ちているとは限らない」と思う人には、たて型がいいとも言えます。
私は典型的な後者で、真冬には洗濯機に注ぐ水の温度を上げ、ぬるま湯にして洗います。冬の、手が切れそうになるほど冷たい水では、いくら洗剤を使ってかき混ぜても、汚れがまったく落ちないからね。
つまり私にとって洗濯とは「洗濯機のスイッチをいれる」ことではなく「洗濯モノの汚れを落とす」ことなのです。
※こちらは 「二槽式の小型洗濯機」、洗濯機も実はいろんなニーズがあると思わせられる商品
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最後に衣類の傷みより深刻な問題になりかねない、「合成洗剤がきちんと落とせているか」問題も指摘しておきましょう。
最近の洗濯機(特に一体型)は節水をウリにしている商品が多く、標準コースやおまかせコースでは、すすぎの水が少なすぎて、「洗剤がきちんと落とせていないのでは?」と思えることが多々あります。
たて型なら自分で確認できるので、確認したことのない人は、一度、最後のすすぎが終わり、脱水に入る直前にスイッチを切ってフタを開け、水の様子を確認してみましょう。
この段階で水に洗剤の泡が残っていたり、水を手にすくって鼻を近づけ、洗剤の匂いが残っていたら、(たとえ最後の脱水を経ても)洗剤分が衣類に残る可能性が非常に高いです。
すすぎが不十分で洗剤が完全に落ちていない肌着やタオルを日常的に使うと、肌が敏感な人や赤ちゃんなどに肌荒れの被害がでることがあります。
特に漂白剤が入っている洗剤が残るのは、肌に深刻な影響を与えます。
背中など、紫外線を含めた外部刺激にほとんど晒されていない部分の肌が荒れてきたら、洗濯洗剤が落ちていない可能性を考えてみましょう。
この「洗剤が残っている問題」はドラム式でも起こりますが(てか、ドラム式のほうがリスク高そうですが)、
ドラム式の場合、洗濯途中に確認するのは難しいので、洗濯が終わった後のタオルをとりだし、洗面器で水に浸して、その水に洗剤が溶け出さないか、確認すればいいと思います。
ただし、肌の敏感さは個人差が大きいので、今まで何十年も標準コースで洗ってきたけど、肌トラブルはゼロというなら、あまり過敏になる必要はないでしょう。
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というわけで、今回、私が買ったのは、下記のたて型・全自動洗濯機と、専用乾燥機のセットです。
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同じたて形で乾燥機能のついたモノもありますが、私のは洗濯専用機(送風機能付き)です。
お店にいくとドラム型が多く目に付きますが、今でもたて型に根強い人気があるのは、上記に書いたように、
・たっぷりの水で、衣類を傷めずに洗いたい
・洗いやすすぎの状況を途中で確認でき、調節できるほうがいい
・専用機のほうが、洗濯も乾燥も機能的にレベルが上
・同時並行で使えるほうが家事が(洗濯が)まとめてできてラク
というニーズが「ボタンひとつで乾燥までぜんぶ終わり、かつ、節水できる」ドラム型よりいいという人が一定数いるからなのでしょう。
みなさまの次回の買い換えの際のご参考になれば幸いです。